活動の記録

忌門(いみもん)を魅せる

黒谷家には「忌門(いみもん)」と呼ばれる特別な門がある。忌は「けがれを清め慎む」という意味。昔は身分の高い者もしくは祝い事・葬儀のときのみ使われた特別な門であると考えられている。
しかし、この門の外側には既存の塀があり、外部からは見えなかった。塀の改修に合わせ、この歴史的価値のある忌門を外部にみせるべく、忌門の前の塀を改修した。

  • 忌門を見せつつ、塀との連続性を持たせるデザインを目指した
  • 基礎から作り直す。コンクリート用の型枠を組み立てた
  • 基礎に塀を固定するための穴を開けた
  • 柱を立てた状態
  • 板を取り付けていく
  • 歴史的価値のある門が地域に開かれた

塀の改修

黒谷家のシンボルである黒い塀は足元が腐敗して倒れてしまう恐れがあり、一刻も早く作り変える必要があった。それに加えて、風通しが悪いために湿気がこもり、建物が痛んでしまうという問題もあった。
そのため、「塀を修理する」「風通しを良くする」という2つの条件に、「黒谷家を外にひらく」というコンセプトを加え、参道から黒谷家の建物・庭が見え隠れするデザインを検討した。
「庭で行う活動を参道から見え隠れさせる」「プライバシーを守るため黒谷家内部への視線をさえぎる」という相反する2つの要素を実現するため、様々な塀の形状のアイディアを出し合い、実際と同じ大きさの模型を作り、隙間の大きさを細かく調整することで最も良い塀の形を探して設計した。
そうして設計が完了したため、学生の手で実際に作る作業へと移った。木材の加工は望月工務店(愛知県豊橋市)の協力の元、学生の手で行った。ノミやカンナといった大工道具を使って精度よく仕上げていくことが非常に難しく、慣れるまでにとても苦労した。
わずか10mの塀を現地で設置していくのにも、非常に時間がかかり、一度に組み立てることはできなかった。毎週のように黒谷家に通い、少しずつ学生の手で塀を設置していった。

そうして黒谷家のシンボルとしての雰囲気を残しながら、これから行われる活動を外に開く立派な塀が完成し、黒谷家が地域に開く第一歩を歩みだした。

  • 黒谷家のシンボルである黒い塀も、足元が腐敗して倒れてしまう恐れがあった
  • 根元はひどく腐敗していた
  • 塀に貼る板を両側から交互に重ねることで、斜めに視線が抜ける形を思いついた
  • 実際と同じ大きさの模型を作り、見え方を確認しながら、隙間の大きさを細かく調整した。
  • 木材の加工も望月工務店(愛知県豊橋市)の協力の元、学生の手によって行った。
  • 学生の手で作るのは難しく、わずか10mの塀を毎週のように通い少しずつ完成させた。
  • 改修前
  • 黒谷家の雰囲気を残した風や光が抜ける塀が完成し、黒谷家が地域に開く第一歩を歩みだした。

茶室の改修

使われなくなっていた茶室を子供が集まる秘密基地のような非日常空間へと作り変えた。
改修の計画を立てるために、茶室に詳しい建築家(野田氏)に指導を仰いだ。その道のプロに相談することで、茶室の躙り口(にじりぐち:茶室の出入り口のこと)の文化的意味、「黒谷家の茶室は流派にとらわれないオリジナルのものであること」「誰をどのようにもてなすかで空間を決めることができる」ことなどを学ぶことができた。
茶室について学び、黒谷家のコンセプトに合う茶室として、遊びに来た「こどもたち」が楽しむことができる新しい茶室を考えた。模型を作りながら検討を重ね、新しい茶室にはこどもたちが遊ぶことのできる「こども専用の躙り口」を作ることに決めた。
計画だけでなく、工務店の協力の元、実際に学生の手で苦労しながら改修した。
新しく生まれ変わった茶室では、もみじまつりの際にお茶会を開催し、茶室としての息を吹き返した。
こども専用として設けた「躙り口」はこどもたちの遊び場として、うまく機能していた。

  • こどもが集う、秘密基地のような非日常空間を目指した
  • 構想段階で描いたラフスケッチ
  • 検討のために作成した模型
  • 建築家の野田氏(Architect Design Office YAMATO)の指導を受け、より良い計画を目指して取り組んだ。
  • 既存の天井を撤去
  • 工事の多くに学生が参加。土壁は左官職人の指導のもと、学生自らの手で塗った。
  • 裏庭の竹林と印象を合わせ、照明を隠すように天井に竹を敷き並べた。
  • 周りの風景と光を取り込んだ明るく、非日常的な茶室に生まれ変わった。
  • 子供達をもてなす躙り口は、子供達の遊び場としてうまく機能していた。

竹を使ったサマーワーク 2014

2014年のサマーワークはテーマを「竹」に決め、建築材料としては一般的でない竹を、いかに使うことができるかを考えるワークショップとした。
まずは、竹林から竹を切り出し、竹の性質を理解するために火で炙ったり、思い思いの加工を行うことで、木とはたがう竹の性質を学んだ。
竹の性質を学びながら、門に設置していた獣害防止柵が、金属製の無機質なものであったことから、それを竹を使って新しく作り、有機的な雰囲気の門に変えた。

  • 材料の竹を竹林から切り出す作業から始めた
  • 切り出した竹に触れ、木とは違う性質を確認した
  • 竹には寿命を伸ばすため防腐剤を塗った
  • 出入り口の獣害防止柵を完成させた

もみじまつり 古民家カフェKUROYA

改修した居間のオープンハウスと昨年同様1日限りのカフェを開催した。

  • かつての表参道の賑わいを彷彿させる大勢の人の往来があった
  • 継続的なコミュニティ構築の触媒として再び地域に根を下ろした
  • 縁側に制作したキッカケコシカケをテーブルとして活用した
  • 改修後の居間は人が自然に集まるような場所になった
  • いまの子供たちにとって火に触れる機会はとても貴重な体験
    どうしたら薪に火がつくのか、ものを焼くとどうなるのか、自分の手で目で感じられる場所
    黒谷家を訪れた子供たちは、緑、風、火、水、土を感じ、帰るころにはきっと、すこしだけ成長しているはず

土間解体・
漆喰塗りワーク・タイペック張り

  • 湿気でカビ臭かった既存の土間を解体
  • 床板は土台までシロアリの被害が広がっていた
  • 地元の職人さんから漆喰のコテさばきを教えて頂いた
  • 改修前の土間空間(玄関)の様子
  • 土間空間の内壁は既存壁の保護を兼ねて、全面漆喰壁とした
  • 居間の建具は全て開放できるような採光用の可動式建具とした
  • 障子はタイベック太鼓貼で、耐久性と調湿機能を備えた設えとした
  • 薪ストーブを設置し、床材は蓄熱性の高いテラコッタタイルとした

サマーワークショップ2012
[天井解体]

「サマーワークショップ2012」と題して、居間の天井解体・小屋裏の掃除を実施した。
居間の天井を取り除くことによって、隠れていた大きな梁など魅力的な小屋組が見えるようになり、それまでの閉塞的な空間から、古民家らしい開放的な空間となった。

  • 閉塞感のあった居間の天井を解体
  • あらわになった昔の小屋組の様子。開放的な空間へと変わった
  • 改修エリアの天井が剥がし、既往の架構を顕在化した
  • 同じ釜の飯を一つのテーブルを囲んで食べる。この場所が地域の拠り所となるような、そんなあたたかい場所にしたいと考えた
  • 木ルーバーはモックアップをつくり、現場で確認しながら進めた
  • 廊下をなくし、土間と居間とをひと続きの空間として整備した
  • 湿気でカビ臭かった既存の土間を解体
  • 床板は土台までシロアリの被害が広がっていた

地鎮祭・瓦屋根卸・木材の選定

今後の改修工事の安全を祈願し、地鎮祭を行った。
表参道から庭に通じる門は、日常的に通ることが許されないほど非常に格式が高いものであった。しかし、老朽化が進んでおり、このままでは大きな地震で倒れてしまうおそれがあった。そこで、門の大きな負担となっている重い瓦を取り除いて安全性を確保し、将来的に復元できるようにした。

  • これから始まる工事の安全を祈願し、地鎮祭を行った
  • 老朽化が進み、倒壊の危険があった門の瓦を降ろした
  • 作業の後は大勢で一緒に食事をするのが恒例となった
  • 改修に向けて用いる材料を選びに地元の製材所へ

地域の方々の意見収集と方針の検討

2011年のもみじ祭りで伺った地域の方々の声を手掛かりに、黒谷家が鳳来寺山表参道にとってどのような場所になることが好ましいか検討を進めた
地元の人たちが集う場所、ここを訪れる子どもたちが自ら自然と触れ合いながら学べるような場所をイメージした

  • 活用のイメージ画
  • 模型を作りながら検討する建築サークルの学生たち
  • 木ルーバーによって採光・通風を確保する案
  • 最終案の模型。土間(玄関)側からのイメージ

もみじ祭り2011 古民家カフェ

毎年開催される秋のもみじまつりで「古民家カフェ」と称して、黒谷家を地域に開放した
「ずっと気になっていた」「始めて中を見ることが出来た」など、地域の方やもみじ祭りに訪れた人の貴重な意見を聞ける機会となった。

  • もみじ祭りにて「古民家カフェ」を開催した
  • キッカケコシカケを庭に広げ、オープンカフェに
  • 室内の一部もカフェとして開放した
  • 多くの人が興味をもってくれた
  • 「キッカケコシカケ」が人が集うきっかけとなった

サマーワークショップ2011

キッカケコシカケは、古民家「黒谷家」の将来像を地域の人にも一緒に考えてもらうきっかけになればという想いから提案した。
日当たりのいいテラスに床と同じ高さの可動式のスツールとなっており、普段はデッキのようにテラスに納まっているが、持ち出して腰掛やテーブルとして使うことができる。

  • 黒谷家の平面図・模型を作製し、気付いたことを話し合った
  • ワークショップの様子
  • 参加者が誰でも作れるようデザインした
  • 組み上がったものを塗装し完成
  • 組み上がったキッカケコシカケ
  • 参加者全員で、地元特産の鳳来牛をBBQで味わった

黒谷家および
鳳来寺山表参道エリアの現地調査

現地を自分たちの足で歩き、見聞きしたことを再生計画に反映させたいと考えた
実測を踏まえ、現場で描いた立面図。幾たびにも増築が重なり、屋根が複雑に重なり合っていた
建具の大きさも様々で、長い年月のあいだ、住まい手の生活に合わせて建物も変容してきた様子がわかった

  • 黒谷家の平面図・模型を作製し、気付いたことを話し合った
  • 黒谷家の蔵の調査
  • 古い建物が建ち並ぶ鳳来寺山表参道の様子
  • 千数百段の石段を登り、鳳来寺山東照宮へ
  • 実測結果から黒谷家の軸組模型を制作した